核兵器を人間の頭上に落とした国の大統領に見てほしいもの

 高熱に溶けて再び固まった金属なのか、コンクリートなのか、ガラスなのか、瓦なのか、わからない。そのなかに、白っぽい断片が見えました。

 何だろう?説明書きを見て慄然としました。「遺骨を含むがれきの塊」というのです。白い断片は、原爆の熱線と炎を浴びて亡くなった広島市民の変わり果てた姿だったのです。自分と同じ人間が小さな骨片と化して、1945年8月6日午前8時15分に止まった時間を訴え続けている・・・。

 遺骨を含んだ被爆資料は、広島平和記念資料館に6点保管され、4年前のままなら1点だけ展示されています。館の西隅あたり。高熱火災の被害を集めた一群に紛れ、あまり目立ちません。出口に近く、黒焦げの弁当箱、焼けただれゆがんだ三輪車、原爆症に命を絶たれた佐々木禎子さんの千羽鶴に打ちのめされた見学者は、ほとんど目に留めず通り過ぎているようです。

 筆者は約半世紀前、小学校4年生のとき、父に連れられて資料館を訪れ、その展示を目の当たりにしました。受けた衝撃の大きさは今も忘れてはいません。生身の人間の頭上で炸裂した核兵器の非人道性、理不尽さが具体的な形となって、子ども心にも重く、強く迫ってきたことを覚えています。

 現職として初めて、アメリカの大統領が5月27日、被爆地・広島を訪れます。英語では「A-bomb survivor」と呼ばれる、被爆した人たちが望んでやまなかったことが実現するのです。オバマさんには、70年以上の長きにわたり瓦礫の中から発している物言わぬ抗議に耳を傾け、その姿をまぶたに焼き付けていただきたいと思います。